歯はいつか失い、入れ歯(義歯)になるのが当たり前だと思っていませんか?
実は、毎日のお手入れで予防をしっかりしてムシ歯や歯周病を防ぐことで実際に90歳でも元気にご自分の歯で噛んでいる方もいるのです。
ムシ歯で歯を失う、歯周病で歯を失う、それはムシ歯や歯周病は痛くなってからでは遅いからです。
では一体どうしたら歯を失わずにいつまでもお口の健康を保てるのでしょうか?
それは、『早期発見・早期治療』に他なりません。
予防歯科とは、一生ご自分の歯で噛んでいただくために、痛みなどの自覚症状がなくても定期的にプロによるチェックとクリーニングを受けることにより、ムシ歯や歯周病を予防・早期発見し病気が見つかった場合でも最小限の治療ですむようにするという考え方に基づく歯科処置です。
予防歯科の基本は歯みがきです。
歯を磨いて、お口の中に付着したムシ歯菌やプラーク(歯垢)を落とす事でプラークコントロールを行います。
プラーク(歯垢)とは細菌のかたまりで、ムシ歯や歯周病はプラークによる感染症と言われています。この細菌は唾液などの体液を栄養にしているため、食事をしなくてもプラークはできてしまいます。
私達が食べたものからは、主に糖を利用するくらいなのです。
プラークはまず歯に付着し、そのプラークが徐々に増えてくると歯と歯肉の間の歯周ポケットといわれる溝に溜まってきます。
歯周ポケットにプラークが溜まってしまうと自分ではなかなか落とせないので、まずは歯につき始めたプラークをしっかり落とす事が大切になってきます。
自分の歯の形、並び方を知っていますか?
狙って磨かないとプラークは落ちません。
一件シンプルに見える歯は、1本1本の形も違い、微妙な曲面で作られています。ですからただ漫然と歯ブラシを歯に押し当てて磨いてもプラークを落とす事は出来ません。
正しいブラッシングは、ご自分の歯の形をよく見て1本ずつ歯を狙って磨く事です。
プラークは毛先でサッと落ちます
毛先を上手にプラークに届かせ、毛先のコシで取るのがコツで、毛先の届かせ方が工夫のしどころです。
毎食後磨く事が理想ですが、特に夜寝るまえにしっかりと磨くように習慣付けましょう。
歯面に対してブラシの毛先を直角に当てましょう
プラークを落とすには歯ブラシの毛先を歯面に直角に当てて小さく動かします。
歯の表面は微妙な凸凹があるので大きく動かしても効果がありません。
また、歯ブラシのワキ、カカトやツマ先などのブラシ面を使い分ける事がポイントです。
歯ブラシを強く当てていませんか?
歯を磨くのか歯肉を磨くのか勘違いをしていませんか?
ブラッシングを歯肉のマッサージと勘違いする人が居るのですが、そのために必要以上に歯肉を傷つけている場合があります。
ブラッシングはあくまでも歯面のプラークを落とすためのものです。
歯周ポケットにたくさんプラークが溜まっている場合には、歯医者さんでの除去をお願いしましょう。
力は入れずに軽く毛先で落としましょう!
歯ブラシを歯面に強く押し当てると毛が寝てしまって、毛先がまったく当たらないのでプラークは取れなくなります。
軽く歯面に毛先を当てて、毛の弾力だけでブラッシングをする事が大切です。
強く磨くとプラークは取れずに、歯や歯肉を傷つけるだけです。
歯ブラシで磨くにくい所は補助器具を使いましょう
補助器具には歯間ブラシ、デンタルフロス、タフトブラシなどがあり、歯と歯の間のプラークを取るのに適しています。
入り組んだ歯並びで、通常の歯ブラシでは磨き残しができる場合には効果的な補助器具を使います。
【歯みがき剤の効果的な使い方】
始めから歯みがき剤を使って磨くと、泡で狙いが定まらず磨き方も雑になります。
最初は歯みがき剤は使わずに奇麗な歯面になったところで仕上げで歯みがき剤を使うのが望ましいです。
歯ブラシの正しい使い方や補助ブラシの使い方など、那須歯科医院にて指導致します。遠慮なくお尋ね下さい。
バイオフィルムをご存知ですか?
ちょっと聞き慣れない言葉ですが、「バイオフィルム」は細菌のかたまりであるプラークの強固な集合体です。
流しの排水溝のヌルヌルもバイオフィルムです。
お口の中でも同じバイオフィルムが作られています
お口の中でも細菌のかたまりであるバイオフィルムが形成されています。
バイオフィルムは細菌のそれ自体がフィルム状のバリアーで覆われているので、外部から保護されて細菌にとって住み易い環境となります。
その上、バイオフィルムは歯面や歯と歯肉の間の歯周ポケット以外にも舌の表面(口臭となる舌苔)や入れ歯(義歯)にも付着します。
ムシ歯や歯周病はバイオフィルム感染症です。
バイオフィルムは歯ブラシが届かない部位に付着します。
バイオフィルムが歯面にあるとエナメル質を溶かしムシ歯を発生させます。
歯周ポケット内では歯肉の炎症を拡大させ、歯を支えている骨まで破壊されて歯を失うことになります。
平坦な面のバイオフィルムは歯ブラシで丁寧に磨けば除去できますが、歯周ポケット内は歯ブラシが届かずバイオフィルムはますます成長していきます。
バイオフィルムは薬が効きません。
バイオフィルムが厄介なのはバリアーで覆われているので抗菌剤や消毒剤などの薬が浸透しにくく効かないことです。
したがって、今の所歯ブラシなどで物理的に除去する以外に方法はないのですが、歯ブラシの届きにくい部分には歯医者さんでの専門家による対応がどうしても必要です。
歯ブラシがきちんと当たる場所はバイオフィルムが出来る前にとれてしまいますが、次のような人はできやすい条件があるので注意が必要です。
●ブラッシングが上手く出来ない人
●歯並びが悪く角度的に歯ブラシがうまく当たらない人
●歯周ポケットが深い人
●矯正治療中の人
●修復物の多い人
などです。
しつこいバイオフィルムにPMTC
PMMTCは効果的なプロケアのひとつです。
Professional:プロフェッショナル(専門家、歯科医師・歯科衛生士による)
Mechanical:メカニカル(専用の器具を使用)
Tooth:トゥース(歯の)
Cleaning:クリーニング(清掃)
PMTCは口の中の健康をサポートする手段です
PMTCは患者の皆様のお口の中の状態や症状によって、専門家(歯医者・歯科衛生士)の判断の元に行われます。
定期検診で皆様の健康をサポートして行うのはもちろんの事、治療中でバイオフィルムが上手く取れない場合でもお口の状態によってPMTCを行います。
■PMTCの一般的ステップ
1 口の中の状態チェック
歯の表面の染め出しを行い、ブラッシングの状態、バイオフィルムの付着をチェックします。
きれいにブラッシングしているつもりでもバイオフィルムは付着しているのです。
2 歯石除去
歯の表面や歯肉の中(歯根の表面)などに付着している歯石を除去します。
3 洗浄
人によっては歯周ポケット内のバイオフィルムを歯科医院専用の器具を使って除去(破壊)する必要があります。
4 清掃
歯科医院専用の器具を使い、歯面・歯間部・歯と歯肉の間・咬合面などをきれいにします。
5 フッ化物の塗布
フッ化物などを塗布し、歯質を強化します。
☆これは一般的な手順で、皆様のお口の状態によってやり方が異なる場合もございます。
詳細は担当の歯医者さんにお尋ね下さい。
PMTCはホームケアをサポートするものです
ホームケア + PMTC = 健康なお口の維持
PMTCの効果
●ムシ歯の予防
バイオフィルムを除去し再付着を防ぐのでムシ歯予防効果があります。そのため歯のエナメル質表面へのカルシウム補給を促し、再石炭化を促進します。
●歯周病・歯肉炎の改善
歯周ポケット1〜3mmのバイオフィルムを除去するので歯肉の状態を改善し予防にも繋がります。
3mm以上深いポケットの場合は他の方法でバイオフィルムを除去します。
●歯質の強化
洗浄後にフッ化物入りのペーストやカルシウム補給剤を塗布することにより、歯の再石炭化をさらに促進します。
●自然な美しさの回復
歯に付いたヤニや色素も取り除けるので、皆様の持つ本来の光沢ある歯面になります。
(※歯を薬品で白くするホワイトニングとは異なります)
PMTCを行うことでプラークが付きにくくなります
PMTCで歯面をツルツルにしますので、暫くの間は汚れが付きにくくなり健康な状態を維持する事ができます。
しかし、一定期間を過ぎるとまた元の付着しやすい状態になりますので、定期的にPMTCを受ける事をお薦めします。
入れ歯(義歯)にもPMTCは効果的です
入れ歯(義歯)にもバイオフィルムは付いてしまいます。
清掃が不十分だと歯茎の状態が悪化し、入れ歯(義歯)も合わなくなってきます。
入れ歯(義歯)だから関係ないと思わずに、入れ歯(義歯)でも定期的に歯医者さんで清掃をしてもらいましょう。
毎日、しっかり歯を磨いているのに。
特に悪いところはないのに。
何故1
自分だけのブラッシング(セルフケア)だけでは落とせないプラークがあります。
歯と歯の間、奥歯の後ろ側などは、自己流のブラッシングではなかなか落とせません。また、歯周ポケットの中は歯医者さんでないと落としにくい部位です。
何故2
プラークは細菌のかたまり(バイオフィルム)を形成し歯周病を発症させます。
磨き残しから作られるバイオフィルムや歯石は歯ブラシでは落とせません。しかもバリアーで覆われていて異物の進入を拒否するので抗生剤などの薬も効きません。
歯医者さんで除去してもらう事が必要です。
何故3
口の中の状態は常に変化し、自覚症状もないまま悪化していきます。
歯肉の炎症や初期のムシ歯では自覚症状がなく、痛い・膿が出てきたなどの症状が現れたときは手遅れになります。
自分で気づかないうちに変化していくものなので、定期的に検診を受けましょう。
定期検診で行うこと
状態を確認し不十分な所を補い、おひとりおひとりにふさわしいケアの仕方を指導します。
定期検診の内容
●歯周病精密検査
X線検査 歯周ポケットの測定 動揺度の検査
●ブラッシングの再確認
●咬み合わせのチェック
●生活習慣指導
●PMTC
(歯科医療専用機器を使った清掃)
●抗菌剤の塗布、フッ素塗布
通常、以上の6項目を年に2〜3回行います。
定期検診の目的
1 歯周病やムシ歯になっていないかチェックします
●治療後でも悪化しやすい病気なのでチェックが必要です。
●もし悪化していたら初期のうちに治療します。
2 毎日のブラッシングが出来ているかチェックします
●おひとりひとりに合ったブラッシング法を指導します。
3 PMTCで歯をきれいにします
●PMTCで歯面はもちろん、歯周ポケットの中など自分で落とせない部分をきれいにします。
●きれいにツルツルにするので汚れも付きにくくなります。
4 歯周病やムシ歯の危険がある部分に薬剤を塗って護ります。
●フッ素塗布によりエナメル質が強化されます。
定期検診はあくまでもホームケアのサポートで、不十分な所を補い処方するものです。
治療後から定期検診がスタートします
何よりも大切なのはホームケアです。
そしてお口が健康なうちから定期検診を習慣づける事が大切です。
次の項目にひとつでも当てはまる人は、ムシ歯や歯周病になるリスクが高い人です。
定期検診を受けましょう。
□ ブラッシングで出血する
□ 歯に隙間が開いてきた
□ 物がはさまるようになってきた
□ 口臭が気になる
□ 冷たい物がしみるようになってきた
□ 歯が動くようになった
□ 歯が伸びたように感じる
□ 最近1本歯を失った
□ 口の中の渇きが気になる
□ 妊娠している
など
☆ぜひ、お口の中が健康なうちに定期検診を受けてください。
定期検診サイクルは患者の皆様の状態によって受診サイクルが異なります
【通常】
● 1〜2ヶ月に1回
● 3〜4ヶ月に1回
● 6ヶ月に1回
● 1年に1回
定期検診はあくまでも口の中の健康を維持するためのものです。だから、健康なうち、または治療終了後から始めましょう。
もし定期検診中に病気が発見されても初期段階なので、治療は痛みも少なく最小の費用で簡単に行うことが出来ます。
今ある歯を一生使うためにも、定期検診は大切です。